核分裂のエネルギーを元にした原子爆弾の開発は、そのあまりの破壊力によって人類の戦争を根本から変えた。その原爆を投下された唯一の被爆国の70周年にあたり、開発時の根本的な問題を現代に蘇生させ、再考する。
原爆が完成に近づいた時、開発に携わった核物理学者のなかには、その最初の使用をいかにすべきか真剣に考え、討議していたグループが存在した。その後に起こる無制限の核開発を危ぶみ、どのような方針で核開発を進め、最初の原爆の使用をいかに制限すべきか、人類の未来においてきわめて重要な建設的提言がなされていた。国連創設やルーズベルト大統領の死など、政治的・軍事的にその岐路となった時点を戯曲化し、演劇として舞台に繰り広げ、文学演劇芸術として再生すると同時に、核と歴史の問題を現代に提示し、広く波及させる。英訳を付け、ユーチューブでも放映する。(五十嵐勉)
原爆開発の見通しが立ち、まもなく原爆が現実のものとなることがわかった1945年4月初旬、その最初の使い方と、核開発が無制限に始まることを危惧する科学者のグループは、大統領に日本への無警告の原爆投下を思いとどまらせようと、建白書を書く。しかし、それをどのように大統領の元に届けるのか、行き詰まる。科学者の一人ジョン・マッケンジーの妻・肖像画家のヘレンは、たまたま大統領と知り合いで、大統領が若い頃、選挙の落選と小児マヒで脚が不自由になってしまった落胆で自殺しようとしたところを救った特別な関係にある。ヤルタ会談で精力を使い果たした大統領から偶然お呼びがかかり、大統領の肖像を描くことを依頼される。
妊娠したばかりのヘレンは科学者たちの意志を受けて、ウォーム・スプリングへと大統領に会いに行く。 再会を喜びながら、ヘレンはルーズベルトに科学者たちの提言を伝えるが、大統領を訪ねてきたサンギエというある財閥の執事の話に驚かされる。サンギエは、原爆という超破壊兵器を、そのまま世界征服の手段に使えと、大統領をそそのかす。原爆を独占し、しかもB29という超爆撃機によって、容易に世界征服が可能だと言う。第二次世界大戦に引き続き、第三次世界大戦を起こして、アメリカの世界征服を実現することこそ、世界平和への早道だと説く。二日後再訪したサンギエと大統領は世界征服と国連の未来とを賭けて対決する。(五十嵐勉)
【出演者】
田中陽悦(劇集団ささらいん)
村上寿(優企画)
井上里砂
金子慎吾(7contents)
榛葉雅也(オフィス薫)
塚川大介(KAMAYAN)
音野暁(ロデオ★座★ヘヴン)
加藤大騎(GFA)
松本淳(ふらっと)
林寛(殺陣道場リルト)
青木晴樹(アクトルノワ)
…ほか
【スタッフ】
戯曲原作・企画:五十嵐勉
演出・プロデュース:日疋士郎(ぷろじぇくと☆ぷらねっと)
舞台監督・舞台美術:佐藤秀憲(ステージメイツ)
照明:柳田充・長尾裕介(Lighting Terrace LEPUS)
音響:竹田雄(Three Quarter)
音響オペレート:佐久間修一・島貫聡
衣装協力:みむらえいこ
稽古場:川名千秋
舞台写真:松本和幸
Web:SHIZUKU/尾形知信
宣伝美術:五十嵐勉
制作:林みく(Karte)
制作補助:井上真理
企画・製作:文芸思潮「希望座」& ぷろじぇくと☆ぷらねっと
…ほか
【メディアにも取り上げられました!】
プレ公演にお越し頂きました芥川賞作家の高橋三千綱さんが、
8月14日発売の東スポの連載「本日も楽天日和」で「核の信託」を取り上げてくださいました!!
『役者も製作者もその志す頂きは高い。』 高橋三千綱
(文章及び記事画像:文芸思潮『希望座』ページより引用)
* 文芸思潮『希望座』のページには、ご来場いただきましたお客様のご感想なども掲載されています。
是非、そちらもご覧ください。 文芸思潮『希望座』ページ